富士通と理研、64量子ビットの量子コンピュータを構築
富士通と理研は、ハイブリッド・クラウド・プラットフォームを構築し、超伝導量子コンピューターを1000量子ビットに拡張する計画である。
富士通は日本の理化学研究所と64量子ビットの超伝導量子コンピュータを構築した。これは化学計算の研究開発を加速し、金融アルゴリズムを実行するために設計された。このコンピュータは、理研-RQC-富士通コラボレーションセンターが運営する新しいハイブリッド量子コンピューティング・プラットフォームの一部として提供される予定である。
富士通は日本における量子コンピュータの開発をリードしており、世界各国が実用的な量子マシンの開発に取り組むなか、今後も技術の向上に努めていく予定だ。
新型コンピューターは量子プロセッサーを搭載し、将来、より高度な量子プロセッサーが登場した際に拡張できるよう、垂直ウィング方式を採用している。また、64個の量子重ね合わせ状態と量子もつれ状態を2つまで計算できる。これにより、古典的なコンピューターでは困難だった規模の計算が可能になると期待されている。
富士通によれば、量子のパワーと古典的ハードウェアを組み合わせることで、スケーリングが容易になり、現在のノイズの多い中間量子コンピュータ(NISQ)からノイズやエラー率を減らすことができるという。この結果は、古典計算機上で実行される量子シミュレータによるエラーのない結果と照合され、量子アプリケーションにおけるエラー緩和アルゴリズムの性能評価などの分野で研究の加速に貢献する。
富士通は理研と並んで、超伝導量子コンピューティングと高性能コンピューティングを結びつけるハイブリッド量子アルゴリズムも構築している。そのひとつが、「従来のアルゴリズムよりも高い精度」を実現する量子化学計算機だ。これは新しいハイブリッド・プラットフォーム上に搭載される。ハイブリッド・サービスは、スタンドアローンのプラットフォームとしてだけでなく、AWS Lambda上のサーバーレス・コンピューティング・サービスとしても利用できる。
富士通と理研:シミュレーションと今後の計画
二人は現在、1,000量子ビットの超伝導量子コンピューターと、その量子ゲート演算の精度を向上させる技術に取り組んでいる。これによってノイズが減り、より効果的で正確な計算が可能になる。「しかし、量子コンピューターによる信頼性の高い計算結果の創出は、現在も続いている課題であり、現在のNISQシステムは、周辺環境のノイズによる計算エラーに悩まされています」と富士通は声明で説明している。
ノイズのない正確な結果を提供できる実用的な耐障害性量子コンピューターの実現は、おそらく10年ほど先のことだろう。しかし、Quantinuum社のような企業は、次の10年までには実現する可能性を示唆しており、すでにいくつかのフォールト・トレラント・アルゴリズムを実行できる論理量子ビットを構築している。IBMもまた、同様の時期にある程度の量子的優位性が得られると予測している。
このような将来のマシンには量子アプリケーションも必要であり、GPUや古典的なスーパーコンピューター上で量子回路をシミュレートする量子シミュレーションの助けを借りて、富士通は準備万端であると述べている。量子シミュレーターは、量子マシンの処理能力を構成するエラーの起こりやすい量子ビットに依存しないため、エラーのないロングステップの計算を実行することができる。
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